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大学関係

電気通信大学の1年生で受けた授業を振り返り, 内容を大まかにまとめていきます. その講義に関する扱う内容・勉強のコツ・試験対策・オススメ書籍などについて書きました. また、ここの内容は2019年度のものになります。

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講義(前期)

基礎科学実験A・B

学部1年生で一番の存在を感じさせる「実験」科目です. 実験Aが物理実験, 実験Bが化学実験となっていて半年で入れ替わります. 実験の題目は実験Aが10種類, 実験Bが12種類あり, 毎週実験を行ってその1週間後にレポートを提出します. 提出のフォーマットがA・Bで異なっていて, 実験Aではパソコン(LaTeX,Word,HTMLなど)で書いて印刷して提出, 実験Bではレポート用紙に手書きで提出となっています. 今後, 方々で不満が爆発している様子が見られると思いますが, 自分の頭で時間をかけて考え, そして文章を書き上げる能力を向上させようと1年間努力することで得られるものはとても大きいと思います. 私はA・Bどちらもほぼ毎週睡眠3時間・徹夜でギリギリまで時間をかけて提出していました. 友人と涙目になりながらレポートを書いて朝日が昇ったのを見るのはとても良い経験でした.(良くない)

次に, もう少し細かい内容を紹介します. (以下の話はA・Bどちらにも共通する内容ですが,何をまず優先するのかという自分なりの考えからA・Bでの区別を設けました.)

【実験A(物理実験)】一言で表すなら, 「不確かさ(uncertainty)」と呼ばれる量の評価を行うのがレポートで最も重要なポイントだと感じました. 不確かさに関する具体例を1つ挙げます. ある高さから物を落下させ, 地面に着く瞬間までの時間を計測する実験を行うとします. 得られた測定値が$3.2\rm{s}, 3.1\rm{s}, 2.9\rm{s}$となったとしましょう. (これは極端な例ですが)一般には, 同一の条件下で求めた値でもその値たちはバラつきます. そのバラつきの度合いを定量的に評価して得られる量のことを「不確かさ」と呼びます. ここでは計算過程は省略しますが, 今回の3つのデータから求めたバラつき度合いを特徴付ける量(不確かさ)は, $0.1\rm{s}$となりました. したがってこれら3つのデータの平均も求めた上で, 全てのデータをまとめて表すなら, $(3.1\pm0.1)\rm{s}$のように書けることがわかると思います. これは統計の言葉を用いるなら, 「標準偏差」という考え方で, $3.1\rm{s}$を中心に前後$0.1\rm{s}$の範囲に測定値が入る確率が約$68.3\%$であることを表しています. このことは複数回測定した値を評価する時に, よく用いられる手法なので, 早めに理解しておくと良いと思います. (もっと詳しい話は実験テキストを読んでください.) 最後になりましたが, 有効数字や単位の扱いなどにも注意を払いましょう.

・初めてレポートを書くなら読んでおきたい→「実験レポート作成上の注意」

【実験B(化学実験)】一言で表すなら,必要な情報は漏らさず, 簡潔に論理的・客観的な文章を書く練習ではないかと感じました. 観察して得たことを文章で表現し, そこから自分が考えたことを考察としてまとめます. その際のポイントとしては, 事実と意見の区別を明確に行い, 他の意味が生じない表現を用いて文章を書くと良いです.

参考になった本としては「理科系の作文技術(木下是雄)」がオススメです.

線形代数第一

学部1年生の数学は, 線形代数学と解析学(微積分)の二つに大別されます. そんな線形代数ですが前期に学ぶことをざっくりと言うなら, 「行列という物を扱って連立方程式を解くこと」+「与えられた行列に関して定義される”行列式”という量の計算」の2つです.(クラスによっては「固有値・固有ベクトル」まで扱うこともあります.)

どちらの内容にも言えることですが, まずは計算に慣れることが大切です. 「行列の基本変形」という変形や, 「行列式の展開(余因子展開)」に関する教科書の例題をいくつか手が覚えるくらいまで慣らしておくと勉強が進めやすいと思います.

私のオススメの本としては最近発売された「数研講座シリーズ 大学教養 線形代数(加藤文元)」が高校の教科書と似たレイアウトで尚且詳細で丁寧なので良いと思います.

・関連ページ→数学

微分積分学第一

こちらは, 数Ⅲの微積分の延長です. まずは三角関数の逆関数である逆三角関数の話題から入り, 関数の極限・n次導関数を扱ってから, 関数をべきで近似するテイラー展開・マクローリン展開を扱います. そのあとは定積分や収束・発散についての判定の話題が続きます.

数Ⅲの計算が怪しい人は極限・微分・積分の教科書の内容を復習しておくのが良いと思います.

微積に関しても, 「数研講座シリーズ 大学教養 微分積分(加藤文元)」がオススメです.

数学演習第一

線形代数・微積分と並行して行われるのがこの数学演習です. 1週間おきに線形代数と微積分の演習を入れ替えて行います. ほとんどのクラスでは, 配布された問題を解く→その解説 という流れで講義が進んでいきます.

中間・期末試験についてですが, 「線形代数第一」「微分積分学第一」の問題と比べると簡単な問題が多いため, まずは, 毎週行われるこの演習を通して計算力をつけるのが良いと思います. 過去問は公式で5年分も配布されているので早いうちに目を通しておくと良いでしょう.(電通大数学演習) なお, この試験は全クラス共通の問題です.

物理学概論第一

高校物理の復習$+\alpha$ぐらいの内容で, 前期は力学・波動論, 後期(物理学概論第二)で熱力学・電磁気学を扱います. “高校物理”との大きな違いをあげるなら, 微積分を使って内容が進んでいく点にあると思います. そうは言っても高度な数学を扱うわけではなく, 高校数学の知識$+\alpha$で十分だと思います.

中間・期末試験は60分間で, 全クラス共通の問題です. こちらも公式で過去問が配布されるので早めに目を通し, 勉強の指針にするのが良いと思います.(Moodle)

最後に, この科目はおそらく1年次の中で落単者が最も多い科目となっています. 高校物理をなんとなく終えてしまった人や, 微積を使った物理に抵抗がある人は講義と並行して試験対策をすることをオススメします. 大学側も「電通大物理寺子屋」という支援も行ってくれているので, これを利用してみるのも良いと思います.

・関連ページ(力学の全体像や微分方程式など, 物理に関する話題を扱っています. )→物理

化学概論第一

高校物理の原子分野に関連する話題や, 電子配置, 軌道, 熱力学などを扱います. 講義の内容としては高度に感じる人も多く, 私もイメージしていた”大学の授業”だなぁと思いながら講義を受けていました.

試験は期末試験のみで, 全クラス共通の問題です. 対策としましては, 試験前に「化学概論第一 補充問題」という厚めの冊子が配布されるのでその問題を全て解けるようにしておくのが一番の近道だと思います.

講義(後期)

力学・力学演習(Ⅲ類)

Ⅲ類の類共通基礎科目です. 「力学」で講義を受けて、「力学演習」にてその演習問題を解くのがセットという形式です. 内容としては, 基本的な数学の復習から始まり, まず減衰振動, 強制振動と言った振動論を扱います. その後は相対運動を見た後に2質点系や多質点系, 剛体へと対象が続きます. 大まかな流れが上記の通りで, 途中で関連した内容に触れたりもします.

線形代数第二

前期の線形代数第一の内容に続いて, 線形代数の面白い部分を扱う講義だと思います. 細かい証明等を追うよりも, 今後を見据えて「使う」ことを第一目標にすると勉強しやすかったです. 例えば, 微分方程式の解法の背景に線形代数の構造(特に「固有値・固有ベクトル」)があったり, よくわからない「線形写像」に適当な「基底」を選んであげることにより考えやすい(=具体的に連立方程式のように計算が可能な)「表現行列」という行列へ帰着できるといった, 抽象的であるからこそ適用範囲が広い点が印象的でした.

物理学概論第二

熱力学と電磁気学を扱います. 第一と同じく高校物理の復習$+\alpha$ぐらいの内容で, そこまで高度な数学を使うことはないです. 熱力学なら第一法則・種々のサイクル・エントロピーなど, 電磁気学ならガウスの法則・アンペールの法則などを復習しておくと良いと思います.

解析学

前期にあった微積分学第一が「解析学」と「微積分学第二」へ分裂した感じの内容です. 解析学では, 級数の収束判定といくつかの微分方程式の解法を扱いました.

微積分学第二

一方の微積分学第二では, 多変数関数の解析がメインの内容でした. 具体的には, 極限値の計算・条件付きの極値問題・重積分・3重積分・線積分などを扱いました.